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「Si Compact」製品レビュー 中編

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簡易なミキシング  

 TBマイクのゲインをSoloモニターしながらヘッドフォンで調整。SELスイッチをONにしてチャンネルストリップの出力セクションでLRスイッチをON、ステレオマスターフェーダーを上げるとミックスセットアップが完了。チャンネルフェーダーを上げるとメインスピーカーから音が出る。ch15と16から再生音が入力されることをSoloで確認したらマイク同様にセットアップが完了。イコライザーなどチャンネルストリップのパラメーターを使うならSELを押してACSに呼び出して利用することができる。入出力を接続し、電源を入れてセットアップ、ステレオアウトからミキシング出力を出すところまでは実に簡単だ。難易度としてはアナログ卓の入門機と同じほどである。私がいつもチェックに使っている音楽をいくつか再生してみた。芯のある太い音が再生できている。Soundcraftのアナログ卓直系の安心できる音だ。


TOTEM機能
 ACS面の下に整然と並ぶバスとマトリックスとFXのスイッチがSi Compactの大きな特徴である、TOTEM(トーテム:The One Touch Easy Mix)というフェーダーレイヤーのシステムスイッチである。

 このスイッチをONにすると、たとえばバス3ならば22本あるチャンネルフェーダーがインプットに対応した並びのバス3のミックス・チャンネルフェーダーになり、一番右端のモノ・マスターフェーダーがバス3のマスターフェーダーとなる。これはインプット・チャンネルフェーダーの盤面にバス1からバス14までのフェーダー盤面がマスター付きで重なっていると考えると分かりやすい。インプット・チャンネルフェーダーと同じフェーダーがTOTEMのバススイッチをONにするとそのチャンネルのバス送りのフェーダーになる。同じフェーダーでバス送りのレベルを次々と決めて行ける。非常に素早い作業となり、フェーダー操作なので視認確認もしやすい。

ストロークフェーダー
各ストロークフェーダーは内部にカラーLEDを内蔵しており、AUX、FX、GEQなど、フェーダーに割り当てられた機能に合わせてフェーダー内部のLEDカラーが変化するフェーダーグロウ機能を搭載している

 このときもう一つのSi Compactの特徴であるフェーダーグロウという機能が働く。フェーダーの内部のLEDが、バスがプリの場合黄色、ポストの場合緑色に光って、現在のフェーダーが何のモードか分かるようになっている。

 TOTEMのFXスイッチではFX送りとなりバスと同様FXへのミックス盤面となる。FXはLexiconのプロセッサーが4基内蔵されており、空間系の高品位な音が実現できる。このときフェーダーは青色となる。

 TOTEMのMTXスイッチではバスの1~14の回路がチャンネルフェーダーの1~14に割り当てられ、MTX1~4の出力回路にどのバスを送るかを設定する。このときのフェーダーは橙色だ。MTXモードにした上でさらにMTXスイッチをもう一度押すと、ステレオマスターとモノマスター回路が選択したマトリックス回路へ送られる。その際チャンネルフェーダーの右端、20、21、22チャンネルのフェーダーにステレオ、L、R、モノというマスター回路のマトリックスへの送りフェーダーが割り付けられている。ここでONとし、フェーダーを上げることで送りが成立する。

 TOTEM機能は各信号を出力にアサインする機能だが、それをマスターフェーダーを持ったミキサーとして操作できるようにしたのがユニークな点だ。その操作性はアナログミキサーでおなじみのものだ。

 TOTEM機能でバスを選択したとき、その出力にどの音が入ってくるのか、言い換えればそのスピーカーに何の音がどれぐらいのレベルで送られてきているかがすぐ分かる。いわばアウトプット側からインプットをみて音の空間を作っていくと言える。


フェーダー・レイヤースイッチ

 インプットフェーダーおよびバスやMTXのマスターフェーダーはFadersとあるセクションのスイッチでチャンネルフェーダーに呼び出すことができる。インプットはIN A、IN Bに分かれていて、IN Aがch1からch22、IN Bがch23からch32までがモノラルフェーダー、ch33からch40までがFXリターンフェーダー4本として割り当てられている。BUSは1から14まで、MTXは1から4までのフェーダーに割り当てられている。このスイッチを使うとフェーダーが一斉に動くため移動の音が大きく、静かな現場では使用をためらってしまうので改善してもらいたい点の一つだ。


GEQ機能  

 ステレオやモノあるいはバスやMTXという出力系統には28ポイントのグラフィックイコライザーが搭載されている。これはハーマングループの定評あるBSSのイコライザーだ。出力系統の調整がチャンネルストリップのディレイと合わせて的確にできる。


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