Si Compact 製品レビュー④ 後編
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――― その他に重視した点というと? 松本 入力のチャンネル数もそうですが、出力のチャンネル数とルーティングのやりやすさですね。こういう現場では、VTRの送りなどで意外と出力のチャンネル数を多く使うんですよ。最初はスプリッター的なものを導入しようかという話もあったんですが、「Si Compact」なら計16chの出力チャンネルを備えていて、なおかつ内部で自由にパッチを切り替えることができる。これは大きな魅力でした。 ――― 実際に現場で使用されて、「Si Compact」はいかがですか? 松本 やはり操作性は、思っていた以上に素晴らしいですね。操作性もそうですし、視認性が凄くいい。たとえば「Si Compact」には、フェーダー・グロウ・システムという機能が備わっていて、フェーダーの溝にあるLEDの色が割り当てられている機能によって変化するんですよ。たとえばAUXバスへのセンドが割り当てられているときは緑色、グラフィック・イコライザー・モードのときは赤色で点灯する仕様になっているんです。これによってフェーダーの機能を一目見て把握することができる。実際にイベントが行なわれるときは、音響調整室の中は真っ暗になることがほとんどなんですが、そんな環境下でも視認性は凄くいいですね。 長年「K3」を使ってきて、他社のコンソールよりも特に優れていると感じるのは、内部のシグナル・フローの分かりやすさなんです。複雑なバスの流れも、とても分かりやすい。この特長は、新しい「Si Compact」にも見事に受け継がれていますね。 また、オペレーターの間では、TOTEMスイッチ(編註:The One Touch Easy Mixスイッチ)も好評です。「Si Compact」では、TOTEMというスイッチを押すと、チャンネル・フェーダーがバスへの送りのフェーダーに切り替わり、サーフェース全体がバス・ミキシングに最適化されます。これがかなり便利で、この現場は出力のチャンネル数が比較的多いので、瞬時にバス・ミキシングが行なえるこの機能はとても重宝しています。 |
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――― 内蔵のプロセッサーに関してはいかがですか? 松本 まだそれほど使い込んでいるわけではないんですが、リバーブなどはとても良いと思います。しかしプロセッサーに関しては、サウンド以上にすべてが内蔵されているというのが嬉しいですね。こういう現場で使うプロセッサーというと、EQとダイナミクス、それとAUXのリバーブくらいなんですが、それらがすべて内蔵されているというのはとても便利。これまではダイナミクスやリバーブは外部機器を使用していたので、それらを接続するだけでも時間がかかりましたから。 ――― 今後、活用していきたいと考えている機能というと? 松本 キューとショーの保存機能ですね。やはりオペレーターによってミックスのやり方というのは違うので、それを保存することができるとセッティングの時間を短縮できるのではないかと思います。たとえば、ある企業のイベントがあって、また1ヶ月後に同じ企業のイベントがある場合、「Si Compact」ならまったく同じ設定でイベントに臨むことができる。企業のイベントでもクライアントが音をしっかり聴かれていることが少なくなくて、「この前のイベントは凄く良かったから、今回も同じような音でやってほしい」とリクエストされることもあるんですよ。それがアナログ・コンソールではなかなか難しかったんですが、「Si Compact」のキューとショーの保存機能を活用すれば、そういったリクエストにもしっかり応えられるのではないかと思っています。これまではサーフェースの写真を撮ったりしていましたからね(笑)。 ――― 他の宴会場にも「Si Compact」を導入されるのですか? 松本 まだ何も決まっていないのですが、これから検討していきたいと考えています。最初は導入に躊躇があったデジタル・コンソールも、「Si Compact」を導入したことによって、問題なく使えることが分かりましたしね。こういった現場では十分すぎる機能と音質を備えたコンソールなのではないかと感じています。今後は手がける演目によって、「Si Compact」と「K3」を上手く使い分けていきたいですね。
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※この記事は「プロサウンド Vol.173 2月号(2013年1月18日)」から転載しています。
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